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◎ 陰茎がん | ![]() |
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この NCCN ガイドライン日本語版「陰茎癌」の翻訳は、神波大己(熊本大学)が監修した。 陰茎癌は日本を含め先進諸国では稀な悪性腫瘍である。そのため、我が国における陰茎癌診療ガイドラインは未だ編集されていない。残念ながら陰茎癌取り扱い規約もない状況である。今回、日本語版の監修に携わった NCCN ガイドラインは、最新の研究内容を取り入れ随時改定され、米国における陰茎癌診療についての詳細な治療戦略を提案しており、欧州泌尿器科学会からのGuidelines on Penile Cancerとともに我が国における陰茎癌治療に大いに参考となるガイドラインである。 しかし、本ガイドラインを含め海外のガイドラインを利用する際には、背景となる医療制度や医療事情の相違を理解する必要があり、内容全てが国民皆保険制度下の日本に対応したものでなないことに注意されたい。例えば、本ガイドラインで推奨されている多剤併用化学療法に用いる抗悪性腫瘍薬であるパクリタキセルやイホスファミド、シスプラチン、5-FUは、厳密にはどれも日本国内で陰茎癌の適応を取得していない。しかし、我が国でも以前は広く行われていたブレオマイシンを含むVBM療法などのレジメンはもはや推奨されないものとなっているので検討が必要である。また、外用療法薬として挙げられている5%イミキモドクリームも尖圭コンジローマでしか保険適応とならない。さらに、臨床試験への参加も推奨されているが、我が国では臨床試験のシステムが根付いているとは言い難く、また陰茎癌の症例数も少ないことから、陰茎癌に対する臨床試験はほとんど行われておらず、現実的な選択肢とはならない。このような点に留意し本ガイドラインを日常臨床の場で活用されることを望む。 |
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(文責: 一般社団法人日本泌尿器科学会) | |
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【和訳文について】 和訳文の作成にあたっては原文に忠実な翻訳を原則としたが、日米の表現法の相違、用語の定義の相違などのために、直訳では誤解を生じる恐れがあるものについては、日本語として適切に判断される表現に置き換えた。 訳出例 Brachytherapy 密封小線源治療 [ 説明 ] 小線源治療が正確な訳語であるが、本文中では密封小線源治療を指しているため、密封小線源治療と訳した。 Best supportive care [ 説明 ] Best supportive care については適当な訳語がなく、原語で使用されることが多いため、あえて和訳することは行わず原語のままで統一した。 |
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