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◎ 膀胱がん | ![]() |
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この NCCN ガイドライン日本語版「膀胱癌」の翻訳は、小原航/加藤陽一郎(岩手医科大学)が監修した。 日本泌尿器科学会は、 わが国における膀胱癌の最適な診療の普及と均てん化を目的に「膀胱癌診療ガイドライン」を出版している。日本泌尿器科学会のガイドラインは、膀胱癌診療ガイドライン作成委員会が臨床的な視点から見て科学的に質の高い文献を選別し、現在の日本国内における日常臨床に役立つ実践的なガイドラインである。一方、今回、日本語版の監修に携わった NCCN ガイドラインは、最新の研究内容を取り入れ、米国における膀胱癌、さらに腎盂・尿管癌および前立腺尿路上皮癌までを網羅した、詳細な癌診療ストラテジーを提案している有用なガイドラインである。 しかし 、 NCCN ガイドラインに限らず、海外のガイドラインを参照する際には、背景となる医療制度や医療事情の相違を理解する必要がある。例えば、米国においては筋層非浸潤性膀胱癌に対する膀胱内注入療法に用いられる抗癌薬はマイトマイシンが中心であり、わが国でマイトマイシンとともに普及しているアントラサイクリン系抗癌薬は、本ガイドラインでは触れられていない。また、病理学的異型度に関しては、わが国でも WHO/ISUP 分類が普及しつつあるが、膀胱癌取扱い規約第 3 版では WHO 1973 分類に準拠しており、現時点では、まだ多くの施設において膀胱癌取扱い規約に基づいた病理診断がなされているものと推測される。さらに、臨床試験のシステムが発達している米国においては、臨床試験への参加が強く推奨されているが、わが国における膀胱癌の先進的臨床試験は、一部の大学病院やがん拠点病院など、ごく限られた施設でのみ行われているのが現状である。本ガイドラインをわが国で適応するには、このような相違点を理解した上で日常診療において参考にする事が適切である。 |
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(文責: 一般社団法人日本泌尿器科学会 ) | |
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【和訳文について】 和訳文の作成にあたっては原文に忠実な翻訳を原則としたが、日米の表現法の相違、用語の定義の相違などのために、直訳では誤解を生じる恐れがあるものについては、日本語として適切に判断される表現に置き換えた。 訳出例 Selected mapping biopsy ランダム生検 [ 説明 ] TURBT 時に系統的に行う膀胱粘膜生検の意味であり、わが国で広く用いられ、「膀胱癌診療ガイドライン」でも使用されている「ランダム生検」を訳語とした。 Retrograde selective washings of upper tract 尿管カテーテル挿入による選択的上部尿路洗浄細胞診 [ 説明 ] 直訳では不自然となるため、意訳した。 Micropapillary, nested, plasmacytoid, sarcomatoid (訳語なし) [ 説明 ] 膀胱癌領域の日本語文献では英語表記されることが多く、コンセンサスのある日本語が存在しないため、英語表記のままとした。 |
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