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NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン2019年第2版監訳に際して この NCCN ガイドライン「胸腺腫および胸腺癌」 (2019年第2版) の翻訳は、日本肺癌学会が監訳した。 胸腺腫をはじめとする胸腺上皮性腫瘍は発生頻度が少なく、ほとんどの論文は経験に基づく retrospective study であり、 prospective study がなされていても少数例の分析に留まり、現時点でガイドライン作成の資料となるエビデンス・レベルの高い論文はほぼ皆無である。 本文の記載に対して追加すべき事項を以下に記載する。 1. 前半9ページ: 外科治療の原則として完全切除が大前提であるが、胸腺腫と胸腺癌では多少の違いがある。すなわち、胸腺腫では mass reduction surgery の意義があることを認識しておくべきである。胸腺腫では初回手術時に胸膜播種を伴うことがあるが、胸膜播種転移が合併するというだけの理由で切除不能と判断するべきではない。また、不完全切除に終わっても長期生存する症例が存在することが知られているので、完全切除不能と思われる局所進行症例に対しても、外科治療は考慮に値する。その一方、胸腺癌は他の臓器の癌と同様、一般的にはreduction surgery は容認されないと考えられてきた。しかしながら最近の大規模なデータベースの報告では、定義など詳細は不明ながらsubtotal またはincomplete resectionの群の予後は、biopsyまたはunresectableの群よりも予後は良好であるとされている。これについては解釈が困難であり、今後の検討が必要である。 2. 前半13ページ: 代表的な化学療法レジメンが紹介されているが、ここでは記載されていないCAMP療法(シスプラチン、ドキソルビシン、メチルプレドニゾロン)も胸腺腫に対して有効であることが知られている。 | |||
2020年5月25日 | |||
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