NCCNガイドラインコメント
◎ワルデンストレームマクログロブリン血症/リンパ形質細胞性リンパ腫 close
この NCCN ガイドライン日本語版「ワルデンストレームマクログロブリン血症/リンパ形質細胞性リンパ腫」は、日本血液学会 造血器腫瘍ガイドライン作成委員会が監訳・監修した。

ワルデンストレームマクログロブリン血症/リンパ形質細胞性リンパ腫(WM/LPL)は、リンパ系腫瘍に含まれる稀な一病型であり、大規模な臨床試験の結果に基づくエビデンスの創出が困難な疾患単位である。従って、本ガイドラインが、専門家の経験や小規模な試験結果からの統一されたコンセンサスに基づいて作成されていることは否めない。しかしながら、可能な限り発表された研究結果を吟味して注意深く作成され、有用な診療情報を提供していることに疑う余地はない。

日本血液学会の造血器腫瘍診療ガイドラインと比較しても、本NCCNガイドラインとの違いは僅かであるが、本ガイドラインに記載されている化学療法の選択肢のなかには、高い有効性を示すものの、本邦では保険承認されていないものがあるので留意する必要である。

本ガイドラインは2013年第2版を翻訳しているため、WM患者の多くに認められることが報告されたMYD88遺伝子変異(MYD88(L265P))が記載されていないが、アレル特異的(allele-specific)PCRによる遺伝子変異の検出は、今後、WMの診断に重要になると思われる(Treon SP, et al. N Engl J Med 2012;367:826, Xu L, et al. Blood 2013:121:2051)。

翻訳は可能な限り、「原文に忠実な翻訳」を原則としたが、原意を損なわない範囲で日本語訳として適切となるように翻訳した箇所がある点を御容赦頂きたい。翻訳内容については、十分に吟味したつもりであるが、翻訳に関する問題点があればご指摘頂ければ幸甚である。

(文責:日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン作成委員会)
日本血液学会 ↑このページの先頭へ
close