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◎ホジキンリンパ腫 | ![]() |
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この NCCN ガイドライン日本語版「ホジキンリンパ腫」は、日本血液学会 造血器腫瘍ガイドライン作成委員会が監訳・監修した。 ホジキンリンパ腫は欧米では全悪性リンパ腫の約3割を占めるのに対して、本邦では1割以下と頻度は高くない。そのため本邦で行われた臨床研究の数は多くなく、日本血液学会編の「造血器腫瘍診療ガイドイン」においても主として欧米のエビデンスを採用し記載されている。当NCCNガイドラインはこれまでの欧米を中心とした治療研究を詳細に解析し、コンセンサス委員会の意見を取り入れた完成度の高いものである。「造血器腫瘍診療ガイドイン」との大きな違いはPET-CTによる治療中間での効果判定を考慮した治療法選択のアルゴリズムが記載されているところである。治療中間PET(以後interim PET)の予後予測における有用性の報告は多いが、interim PET結果に基づく治療変更の妥当性は証明されておらず、現在いくつかの第III相試験で検討が進んでいる。当ガイドラインはinterim PET結果に基づく治療変更は臨床試験で検証されるべき段階であることを述べながらも、interim PETを組み込んだアルゴリズムを採用している。Interim PETの結果が明らかな病勢のコントロール不良を示す所見でない限りは、当初予定した標準的治療法(化学療法、CMT)を完遂することを推奨している。このアルゴリズムを実臨床にそのまま導入することは困難であるが、治療経過中の治療効果を再生検も考慮し注意深く進めていく手順は実際の治療において参考となる。 当ガイドラインでは初発症例に対する化学療法としてABVD療法、増量BEACOPP療法、Stanford V療法が記載されている。ABVD療法は本邦でも広く用いられているが、増量BEACOPP療法、Stanford V療法(mechlorethamineは本邦未承認)は本邦では極めて診療経験が少ないと考えられるため、適用は慎重に行わなければならない。また、本邦をはじめ欧米諸国においてもリツキシマブはLPHL、古典的ホジキンリンパ腫での承認はない。本ガイドラインでは限局期症例におけるCMTでの放射線療法について、従来のIFRTではなくISRTが採用されていることに注目が必要である。IFRTは照射野が比較的広く、肺などの実質臓器に対する長期毒性が問題であった。照射野を病変部分に限局するISRTは今後本邦においても採用されていくと考えられる。 ホジキンリンパ腫は若年者が多く、治癒率が高い疾患である。そのため治療後の長期経過観察は重要である。当ガイドラインでは、治療後の診察頻度や経過観察中の検査や長期観察における注意事項についてよく記載されており、実地臨床において有用な指針となる。 |
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(文責:日本血液学会 造血器腫瘍診療ガイドライン作成委員会) | |
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注1) |
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