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◎外陰癌(扁平上皮癌) | ![]() |
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NCCN ガイドライン日本語版の作成にあたっては日本婦人科腫瘍学会が監修しており、翻訳の際には日本婦人科腫瘍学会治療ガイドラインで使用される用語・表現、または、日本産科婦人科学会編産科婦人科用語集を可能な限り参照している。 外陰がんは婦人科癌の中でも稀な疾患で、近年までは系統的な治療法を解説付きで指針として示すガイドラインは存在しなかった。2016年1月に初めてNCCNによる外陰癌治療ガイドラインが公開されたが、既にその前年8月に本邦においては日本婦人科腫瘍学会が「外陰がん・腟がん治療ガイドライン」を刊行している。 本NCCNガイドラインと本邦におけるガイドラインは近年のエビデンスを基にした指針作成のあり方に大きな相違はない。しかし、本邦と米国を中心とする欧米諸国とでは外陰がん治療の歴史的背景、医療制度、施設の設備、扱う症例数の違いによる各施設の経験値の差、などから外陰がんの実臨床における標準的治療は必ずしも一致しない。例えば、国外ではほぼ標準的とみなされている鼠径領域のセンチネルリンパ節生検を数多く経験している施設は本邦ではほとんどないし、保険適応でもない。この様な背景のもとにNCCNガイドラインと本邦のガイドラインではたとえエビデンスレベルの高い治療や技術があってもその推奨には必然的に温度差がある。 また用語の問題として、本ガイドラインではradical vulvectomyは推奨からは省かれて代わりにmodified radical vulvectomyという用語が使用されている。この用語の定義は本ガイドラインでもなされておらず、文献上も1990年代後半に分割切開法による広汎外陰切除術を示す用語として現れて以来、適切な定義は行われていない。近年一部の国外の教科書に掲載されている様な外陰の正常部分を温存した広汎外陰切除術(例えば片側温存や下部外陰・会陰部分温存)をも含んでいる可能性がある。本翻訳版では取りあえず改変広汎外陰切除術と称しているが、本邦でこの様な手術に対する適切な用語の定義や説明はなされておらず、本邦ガイドラインの改訂で検討される余地があろう。 本ガイドラインを読者が利用する際には、このような相違点や背景の違いを理解した上で日常診療において参考にする事が適切である。 翻訳内容は十分に吟味し原文の誤りも修正したつもりであるが、問題点があれば、ご指摘いただければ幸いである。 |
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