NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン2014年版監訳に際して
NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン、肺がんのスクリーニング2014年版が刊行された。今回も日本肺癌学会のガイドライン作成委員会のメンバーが中心となり監訳作業にあたった。
低線量CTによる肺癌スクリーニングの研究成果を背景に、CTスクリーニングに関する詳細な記載が特筆すべき点である。結論からいうとNCCN委員会は、NLSTおよび非ランダム化試験の結果と観察データに基づき、肺癌リスクの高い者には低線量CTによるスクリーニングを推奨している。とはいえ、本件は複雑で議論のあるトピックスである。費用対効果の評価方法、放射線被曝による健康被害、高い偽陽性率、(スクリーニング段階で)陽性と診断された者の心理的負担など解決すべき課題が山積している。さらには、我が国においては、非喫煙者肺癌が多い。このことが欧米の肺癌患者との生物学的特徴、これに起因する画像上の特徴の違いに繋がっている。単純に欧米におけるCTスクリーニングの対象者やその結果を外挿することはできない。そのような視点で、本ガイドラインを活用することが必要であろう。
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